72の法則の導出
72の法則とは
72の法則とは資産が倍になるまでに必要な期間、または必要な利率を大雑把に求める数式のことです。
( : 年数、:年利(%))
例えば、年利3%で資産が増えていくとき、今の資産が倍の金額になるために必要な年数は
と、概算値を求めることができます。
厳密に求めると23.44年なので、簡単に計算できる割に良い近似値を得ることができますね!
なぜ、この式で求めることができるのかを導出してみます。
まず普通に考えます。
年利%で年間運用したとき、資産が倍になるということは以下のように書けるということです。
両辺で対数をとると
ここで を変形するための準備として、 について考えます。
をマクローリン展開すると以下のように書けます。
実は、本来マクローリン展開は の値が十分小さくないと使えませんが、今回は概算値を求めるためなので気にしないことにします。
それと、マクローリン展開した式は無限に続きますが、今回は概算値を求めるためなので、第一項までしか使わないこととします。それより後ろの項はバッサリ切り捨てます。
つまり、以下ということです。ずいぶんすっきりしました。
さて、準備も整ったので、求めたかった式に戻りましょう。
先程のマクローリン展開で手に入れた式を代入すると以下になります。
ここで、 なので
72が見当たりませんね。実は69も72も似たようなものだということで、72に置き換えてしまいます。
最後、強引でしたが見事求めることができました!
なんで69を72にしたのかというと、72の方が69よりも約数が多いからです。
約数が多いということは、割り切りやすい、つまり暗算がしやすいということです。
もともとの目的が利回りや年数を簡単に計算するというものなので、多少の誤差は気にせず72を使っているわけです。
(69の約数は4個ですが、72の約数は12個もあります)
ちょっと応用(240の法則)
72の法則の導出方法がわかってしまえば、資産が10倍になるまでの利回りや年数の概算値をぱっと求める方法も簡単に求めることができます。
72の法則の導出途中ででてきたこの式
右辺の「2」は資産が2倍になる場合の「2」でした。
なので、資産が10倍になる場合の計算式は単純に2を10に置き換えて以下と書けます。
なので、
230より240の方が割りやすい(※)のでざっくりと
これが資産が10倍になる場合の法則です!
※12の倍数にしてあげると割りやすいです。
試してみましょう。
利回り3%の場合、資産が10倍になるまでの年数は…「80年」です。
厳密に求めると77.9年なので、なかなか良い近似値です。
毎年3%で増えたとしても、80年かかるんですね。
まとめ
72の法則の求め方を確認しました。
( : 年数、:年利(%))