PERと成長率の関係性
概要
PERは時価総額(株価)を純利益(一株当たり利益)で割ることで求めることができます。
上の式は見慣れたものだと思いますが、実はPERには「成長率」もパラメータとして組み込まれています。
つまり、企業の成長率の高さ/低さがPERという数値となって現れてくるということです。
これは直感でもわかりやすいと思います。
成長著しい企業だとPERが数百倍になるほどの株価がついていたり、成長性がない銘柄のPERは低いまま放置されていますからね。
今回はその成長率がPERにどのように組み込まれているのか説明します。
成長率を用いたPERの計算方法
いきなりですが、現在の株価を分解するとどのように書けると思いますか?
株価は様々な要因によって日々上下していますが、シンプルに次のように考えてみます。
(n年後の一株当たり利益をEPSn、n年後の株価をPn、現在の株価をP、割引率をrとします)
現在の株価は、1年後に得られる利益を現在価値に割り戻したものと、1年後の株価を同様に現在価値に割り戻したものを足し合わせた値であるという意味です。
上の式に出てくる1年後の株価も同じように考えると以下のように書くことができます。
つまり、現在の株価Pは以下のように書けます。
同じように2年後の株価、3年後の株価…と考えていくと、現在の株価はn年後の株価を用いて以下のように書くことができます。
ここでEPSは成長率gで毎年成長していくとすると、EPSnは以下のように書けます。
つまり
ここでnを限りなく大きくしたとき となります。
Σも計算が可能で結果以下のようになります。(ただし、)
ここで、上の式をPERの計算式 に代入すると、
となります。
PERは割引率と成長率からも求めることができるんですね。
(割引率はWACCなどを使うことが多いです)
何がうれしいの?
成長率を用いてPERを求めることができるようになりましたが、これで何か良いことがあるでしょうか。
いろいろ使えそうですが、大きく以下ができるようになります。
- 株価の割安性の判断を成長率でできる
- 目標株価を計算する際に便利
株価の割安性の判断を成長率で行える
例えばPER20倍で割引率が8%の株がある場合、市場参加者が期待している成長率は3%ということになります。 この株の購入を検討している場合、あなたがこの銘柄は3%以上成長し続けるはずだと考えればこの株は割安だと判断できます。 一方3%の成長率を維持し続けることはできないと考えた場合は投資を控えるべきです。
PERが20倍という情報だけでは割高/割安を判断するのはなかなか難しいですが、 あなたがその銘柄に期待する成長率より高いか低いかで判断することが可能になるため、検討内容がより分かりやすくなります。
目標株価を計算する際に便利
割引率とあなたが期待する成長率から期待するPERを計算することができます。
その値をEPSにかけることで簡易的に目標株価を計算することができます。
まとめ
- PERは割引率と成長率から計算することができます。